原発性アルドステロン症 PA
【問診】
年齢(二次性高血圧の可能性
男女比は約1:1.5
慢性の高血圧 cf. 頭痛があればくも膜下出血を除外診断 頭痛や動悸(→重症高血圧,発作性カテコールアミン分泌の可能性
頭重感
多尿(→腎の濃縮力低下をきたす疾患が存在する可能性
健康診断での指摘:高血圧
治療歴:コントロール不良の高血圧症.治療抵抗性高血圧症の可能性も
内服薬:
β遮断薬,利尿薬(→PRAやPACに大きく干渉する薬剤
現在内服していなくても最近まで内服していた薬剤:グリチルリチンによる偽性アルドステロン症は甘草(licorice)を成分とする漢方薬の他,肝炎治療薬(強力ネオミノファーゲンシー®,グリチロン®)(→偽性アルドステロン症 薬だけでなくサプリメント,健康食品
【身体所見】
下腿に軽度の浮腫(→Na貯留傾向)
(陰性所見)
血管雑音なし(→腎血管性高血圧の可能性は低い)
【検査】
Na 144mEq/L,K 3.6mEq/L,Cl 98mEq/L(→低K血症はないが,代謝性アルカローシス存在の可能性)
HbA1c 6.2%(→軽度の耐糖能異常の存在
白血球5,400(→Cushing症候群に合併しやすい白血球増多なし
胸部X線写真で心胸郭比50%である.心電図で左室肥大を認める.
血漿レニン活性測定 0.1ng/mL/時間(基準1.2〜2.5)
腎血管性高血圧で高値,原発性アルドステロン症で低値となる.
血漿アルドステロン測定 231pg/mL(基準30〜159)
二次性高血圧の診断に重要.腎血管性高血圧や原発性アルドステロン症で高値となる.
血漿アルドステロン(pg/mL)・血漿レニン活性(ng/mL/時)の比(ARR)ARR>200の場合(→PA
腹部単純CT(→二次性高血圧の中ではPAの頻度が高く,また褐色細胞腫の可能性もあるため,副腎腫瘍の存在診断
生理食塩水負荷試験(→負荷後PAC>60pg/mL(→PA 体液量増加もアルドステロン下がらない
副腎静脈血サンプリング(→局在診断や手術適応判定に有用
アドステロールシンチグラフィ
(陰性所見)
尿所見:蛋白2+,糖(-),潜血(-).
血液所見:赤血球460万,Hb 14.0g/dL,Ht 44%,白血球9,800,血小板21万.血液生化学所見:血糖112mg/dL,総蛋白6.8g/dL,アルブミン3.7g/dL,尿素窒素20mg/dL,クレアチニン0.8mg/dL,尿酸6.9mg/dL,総コレステロール240mg/dL,Na 145mEq/L,Cl 103mEq/L.
【治療】
手術
抗アルドステロン薬(鉱質コルチコイド受容体拮抗薬)(スピロノラクトン,エプレレノン,エサキセレノン)
【鑑別疾患】
高血圧と低K血症
続発性アルドステロン症
偽性アルドステロン症 11βHSD2の作用阻害→コルチゾールのミネラルコルチコイド作用 低K性アルカローシスをきたすが,その場合,レニン,アルドステロンは低値 頭痛や動悸